ヤマザキマリ著『仕事にしばられない生き方』

 この本は読んだほうがいい。

仕事にしばられない生き方 (小学館新書)

仕事にしばられない生き方 (小学館新書)

 

 ヤマザキマリさんって改めてすごい人だと思った。

テルマエ・ロマエ』を描いた漫画家かと思っていたら、漫画家以外にいくつもの顔をもつ人だった。若干17歳で絵を学ぶためにイタリアへ留学し、極貧生活を経験し、そこで同じように明日食べるものにも困っている人たちとの出会いで感じたことを率直に書いている。パートナーの借金でさんざんな目に遭ったことも赤裸々につづっている。

食べていくためにさまざまな仕事をしたこと。ほんとうにやりたいことでは食べていけないから、食べていくためにやりたくない仕事をしなければならない。やりたくない仕事をしていたら本当にやりたいことができなくなる。その狭間で悩み、考えたこと。本の表紙に「いい波が来たら、乗ってみる」とあるけれど、本当にやりたいことをずっと持ちながらも、自分が予想していなかったけど、いい波のチャンスがきたかも、と思ったら、それに乗ってみると、案外うまくいくことがある、というのだ。たしかにそういうことはあり得る。その時その時に縁があった仕事に全力で取り組めば、次(の仕事)へとつながるというのはよく聞く。

 

本を読んで意外だったのは、ヤマザキマリさんのお母さまのこと。ヴィオラ奏者だそうだが、日々の生活を節約するが、楽器などを買うときは、どこにそんなお金があったの?というくらいの金額をドンっと払う。お金がなくなったものだから、そのときから毎日カレー、とか。縁日の綿菓子を欲しがるものなら、お母さんはマリさんに「その代金はほとんどがキャラクターの袋代で、中身の原価はわずか何円のものなのよ」とばっさり言われて、買えなかった、とか。なんか少しわたしと似たようなところもあって(日々の節約で無駄遣いしない(というかケチ?)で、たまに高額でも購入するものがあるとか)、ちょっとお母さまに親近感を覚えた。

そんなお母さんのお金の使い方にはまったく共感せず、マリさんは妹さんと「ああはならないようにしようね」と言いあっていたとか。

 

テルマエ・ロマエ』がヒットして、仕事が猛烈に忙しくなったマリさんは、身体を壊すまで夢中で仕事をし続けたそうだ。身体を壊すまで仕事をするなんて、わたしにはとても真似できないな。

 

わたしはというと、正直、仕事をしなくてよいならせずに毎日のほほんと暮らしていたいと思ってはいるが、実際はそうはいかないので、食べていくために仕事をしている。とはいっても、全部が全部イヤな仕事というわけではない。イヤな仕事もあれば、好きな仕事もある。だから数年は続いているわけだけれども。わたしは思い切り仕事にしばられている(笑)けど、まぁ仕事以外の時間もそれなりに楽しく過ごしているから、なんとかバランスを保っているという感じかなぁ。

 

仕事に行きづまっている人、これから社会人になるという人などにはおススメの一冊だと思う。