最近の出来事で強く印象に残った吉森保教授の講演「オートファジーの過去・現在・未来」

10月の下旬、吉森保教授(吉森研究室 | 大阪大学大学院 生命機能研究科 細胞内膜動態研究室/医学系研究科 遺伝学教室)の講演会に参加した。

世界中が注目 ノーベル賞受賞の「オートファジー」 — 大阪大学

吉森教授はノーベル賞受賞した大隅良典教授と一緒に研究していた方である。

長男の高校で開催されたものだが、吉森保教授は長男の高校出身で、同窓会が企画したものだった。その講演が開催されることを知ったのは、すでに締切を過ぎたあとだった。(長男は、学校からのお手紙はめったに私に渡さないので、、、^^;;)

 

「オートファジー」というのをまったく知らなかったが、研究者の講演ということで、たまたまそのお手紙を見つけたとき、一番に思ったのは、理系方面に興味がある次男がこの講演を聴いたら、すごく参考になるのではないか、ということだった(在学生および保護者、家族も参加できるということだったので)。もちろん、わたしもなんか面白そうということで興味はあったが。そこで、講演会開催事務局に今からでも申込みできるかどうかをダメもとで連絡してみた。

 

思ったほど参加申込者はいなかったようで、締め切りを過ぎたあとからでも、無事に申込みできたので、当日を楽しみに学校へ向かった。

 

ラッキーなことに一番前の席が空いていて、そこで吉森保教授の高校時代のお話やオートファジーとは何ぞや?そしてその研究の歴史、大隅教授のこと、ノーベル賞授賞式秘話などのお話を堪能することができた。お話もわかりやすく、自虐ネタ!?なども交えたりしながらも、あっという間の楽しい時間だった。

 

「オートファジー(自食作用)(オートファジーギリシャ語で「自分」を意味するオートと「食べる」を意味するファジーの組み合わせ)」とは細胞内で行われていることで、(古くなった)たんぱく質を分解し再利用すること。細胞内ではたんぱく質は100%再利用されているそうだ。たんぱく質は分解されるとアミノ酸になり、そしてそのアミノ酸はまたそれぞれ結合して、たんぱく質になり、それが繰り返されているという。そのオートファジーの作用はとても重要らしく、それが機能しなくなると、パーキンソン病などをはじめとするさまざまな病気になるという。

 

オートファジーの研究があまり注目されていなかったころから研究を始め、それを根気強く研究し、実を結んだわけだ。研究というのは、最初はそれを研究してどうなるのか?というのがわからないころからするので、大変なこともあるようだ。なかなか結果が出ないときは苦労するかもしれないが、でも、とことん突き詰める研究ができるというのは、なんだか羨ましい気もする。

 

吉森教授の高校時代は、授業をさぼったりしてあまりほめられた生徒ではなかったそうだ。また最初は文系を選択していたが、のちに理系に変えたそうで、そういうこともできるんだ、と正直驚いた。破天荒な生徒だったらしいが、高校の良かったところは、自由なところ、とおっしゃっていた。昔と今では少し違うところもあるだろうけど、確かに長男の通う学校は自由な雰囲気がある。とは言っても自主自立の精神で生徒たちが活動の中心となってさまざまなことをして楽しい学校生活のようだ。

 

講演会は在学生である長男はあいにく、都合が悪く参加できなかった。とても為になる講演だっただけにちょっと残念だった。できれば長男にも聴いてほしい講演だった。

 

吉森先生はノーベル賞の授賞式も参加されたそうだ。ノーベル賞の受賞式は確か3日間も式典をするとかで、受賞者の発表もあるそうだ。大隅教授はおっちょこちょいなところがあるらしく、発表でちょっとした失敗をやらかしてしまったらしい。吉森先生はハラハラしながら見守っていたらしいが、結果的にはそのハプニングはいい形で終わってかえってよかったと言っていた。

 

そうそう、とくに笑えたのが、「オートファジー」が少年ジャンプの漫画「トリコ」に出てきて、その説明は「栄養飢餓状態に陥った生物が自らの細胞内のたんぱく質アミノ酸に分解し一時的にエネルギーを得る仕組みである」とあり、それがすごく正確だったことに驚いた、というもの。少年ジャンプだから、学生が読んでいて見つけたそうだ。当時、あまり知られていなかったその「オートファジー」が少年ジャンプに載ったことで多くの主に若い人たちに知られることとなったことがすごいことだ、と感動したそうだ。島袋光年さん、やるな! 

 

最後に、吉森先生が、細胞という小さな世界に広大に広がる宇宙を描いた映像を紹介してくれたので、ここに紹介する。細胞は宇宙そのもののようだ、と言っていたのが、とても印象に残っている。 

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